俺様ドクターの溺愛包囲網


つまりそれは、先生と結婚して養ってもらおうってこと? それを隠さずに堂々と言うってどうなのだろう。

「先生ちょっと難しいところありますけど、この病院の跡継ぎだし、子供ができたら絶対可愛いだろうし。宮永さんもそう思いません?」

つまりこれが俗にいう腰掛で、結婚目当ての先生が大嫌いな女性像……。先生が起きていたら、罵られかねない。

「お兄さんのほうもいいですけど、やっぱり医者といえば外科系のほうがかっこいいですしね。だから私、弟の日比谷先生と結婚しようって決めてるんです」

すごい自信だ。けれど、その魂胆も普段から予防線貼りまくっている先生には、簡単に見破られてしまうだろう。

「どうやったら振り向いてもらえますかね?」
「さぁ、私にはわかんないな」

棒読みになりながら、自分用に置いていたブランケットを先生にかける。その時ふと先生の寝顔に目が留まる。

確かに谷さんの言う通り、先生の寝顔は綺麗だ。少し伸びた前髪の隙間からはキレの長い目が覗いていて、まつ毛も長い。鼻筋も通っていて、男らしいシャープな顎のラインがなんとも色っぽい。

「宮永さん、ずるいです!」

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