俺様ドクターの溺愛包囲網
つい見入っていると、谷さんが突如叫ぶものだから、ビクッと体が浮いた。
「ずるいって、なにが?」
「そんなブランケットどこに隠し持っていたんですか! 宮永さん、いつも澄ました顔してますけど、実はポイントアップ狙っていたんですね!」
「ポイントって……」
心配りといってもらいたい。
「そんなんじゃないから。先生、昨夜呼び出されちゃったから、外来が始まるまでゆっくり寝た方がいいと思って」
「とかなんとか言って、狙ってるんでしょ?」
「たがら違うって」
そう言うも恨めしい目で見ている。これ以上、相手にするのはやめよう。頭痛くなってきた。
「ほらほら、始業時間だよ」
口をアヒルみたいに尖らす谷さんをおいて席に着いた直後、背後から「邪魔だ」と低い声が聞こえた。振り返ると、いまだぴったり先生にくっつく谷さんに向かって、日比谷先生が口にしたのだとわかった。
「おはようございます、先生」
「聞こえなかったか? 邪魔だ。そこを退け」
相変わらずの不愛想ぶりを炸裂させながら起き上がる。その拍子でブランケットが床に落ちた。
「あ、これ、寒いだろうと思って私がかけたんです。」