俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
これは恐らく、この前言っていた食事の誘いだろう。自慢じゃないが、私の週末の予定はいつも真っ白だ。唯一やっていることといえば、平日すぐに食べられるように、作り置きのおかずを作ることくらい。要は、暇だ。だから私は素直に答えた。
『はい、あいています』
『じゃあ七時に、ここのホテルの前で待ってる』
見るとURLが貼ってあった。このお店は私でも知ってる。某有名人が経営しているという高級レストランだ。
「真宙。今度俺が昔使っていた参考書もってきてやるよ」
「いいんですか? やったー」
私なんかが行ったら、場違いではないだろうかと迷っていると、親しげにやりとりする二人の姿が目に止まる。参考書って……。我が弟ながらちゃっかりしてるっていうか、厚かましいというか。しかも先生もいつの間にか呼び捨てにしてるし。
そんな二人を見ながら私は要先生に『わかりました』と返信した。約束は約束だし。でもちょっと後ろめたい気持ちになっているのはどうしてなんだろう。