俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
第三章
日曜日。私は要先生に指定された場所へときていた。けれどなんとなく落ち着かない。
高級店が並ぶだけに人通りも華やかで、洗練されているため、完全に場違いなのがびしびしと伝わってくる。それに、真宙のことも気になる。ごはんの支度はしてきたし、勉強もしっかりやっているとは思うけど、私だけ遊んでいいのかと、ちょっと罪悪感を抱いている。
「宮永さん」
様子をうかがうメールをすべきかスマホと睨めっこしていると、要先生がタクシーから降りこっちに向かってくるのが見えた。お値段の張りそうなスーツを着用していて、一際輝かしいオーラをまとっている。すれ違った女性が振り返っているのも目に入った。
「ごめん、遅くなって。受け持ちの患者さんが外科に転科になったりで、ちょっとどたばたしちゃって」
「いえ、今来たばかりです」
「じゃあ、さっそく行こうか」
柔らかな笑みを浮かべながら、腕を差し出される。え? と目を見開くと、手を取られ自分の腕に絡ませた。
「エスコートするのがマナーだから」
「あ、そういうことですね。失礼しました」
こんな華やかな場所に来るのは生まれて初めてで、なにも知らない自分が恥ずかしくなる。