俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~



170℃に熱した油で大量にできたそれらを揚げていく。ジュワーっという音が部屋中に響き、いい香りもしてきた。

「何作ってるんだ?」

匂いに誘われたのか、先生が背後から近づいてきた。

「コロッケです。じゃがいもが特売だったので。詰め放題で三十個もゲットしたんですよ! すごいでしょ」

まるで試合で勝ったような口ぶりで、今日の戦利品を先生に自慢する。

「嬉しそうだな」

そんな私を見て、先生はふっと口元を上げ笑った。今笑った? あの冷徹な先生が?しかも笑うとちょっと可愛いって反則だ。

「……あつっ」

先生の思わぬギャップに狼狽えていると、油がはね手の甲に少し当たってしまった。

「どうした? 見せてみろ」
「だ、大丈夫です、このくらい」

抵抗するも強引に手を取られる。

「赤くなってる。早く冷やした方がいい」

先生は水道を素早くひねると、冷水で患部を冷やした。なんだか最近、先生の前で失敗ばかりだ。足は捻挫するし。といっても、結局大したことなかったんだけど。

そういえば足のことを先生に報告していなかったことを思い出した。

「あの、先生」

振り返り声をかけたころで、ハッとする。


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