俺様ドクターの溺愛包囲網
先生が真後ろに立って私を完全に覆っているのだ。これは、密着しすぎでは?
そのことに気がつくと、途端に顔に熱が集まった。こんなふうに、男性と密着した経験もほとんどなければ、今夜は二人きり……。嫌でも意識してしまう。
「お前の髪、長くて綺麗だな」
「あ、ありがとうございます」
そんなこと耳元で言われたら心臓がもたない。ただでさえこの状況に軽くパニックになっているのに。
すると先生は何を思ったのか、私をさらに混乱させる行動に出た。髪を一つにしばっていたシュシュを強引に取ったのだ。
「な、何するんですか」
言いながら顔を上げると、じっとこっちを見つめる視線と至近距離で絡み合う。途端に、心臓がドキドキと早鐘を打ち始めた。
「おろすと雰囲気、変わるな」
先生が私の髪をさらりとすくう。先生の瞳の中に、戸惑う自分が映っている。どんどん自分の顔が赤くなっていっている気がする。一刻も早くここから逃げないと、これじゃ身が持たない。
「あの、先生。もう手、大丈夫ですから。だから……きゃっ」
やんわりと胸を押そうとしたところで、腰を掴まれた。たくましい腕のにホールドされ、逃げ場がない。