俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
冷徹で俺様。それが私が彼につけた称号だ。口が裂けても言えないが。
ドクターにも様々なタイプがいる。日比谷先生みたいなタイプもいれば、寡黙な先生に、お調子者の先生。それに日比谷先生の兄、要先生のような優しくて柔軟な先生もいる。あの二人は本当に兄弟なのか疑いたくなるくらい、顔も似ていないし、180度性格が違う。
内科医の日比谷要先生は患者さんにはもちろん、スタッフにも優しい。たまに差し入れもくれると、内科病棟のクラークさんが言っていた。いまだ独身で、妻の座を狙っている人は数知れないのだとか。
「宮永さん」
医局に入ろうとしたところでふと誰かに呼びとめられた。振り返ると、今まさに頭の中に浮かんでいた日比谷兄、要先生だった。
「要先生、お疲れ様です」
ぺこっと頭を下げる。お兄さんのほうには、ややこしくなるから下の名前で呼んでと以前から言われているので、そうさせてもらっている。
「お疲れ様。今ちょっといい?」
柔らかい笑顔に一瞬で癒されてしまう。それに加え、髪は癖なのかパーマなのかわからないがふわふわと柔らかそうで、子犬みたいで可愛い。