俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
第五章

昨夜はなかなか寝付くことができなかった。目を閉じると先生の微笑む顔がチラついて、私の頭の中から全然出て行ってくれず、結局寝付いたのは朝四時頃だったと思う。

「おはようございます」

あくびを噛み殺しながら医局へ入ると、すでに谷さんが来ていて、デスクで名刺の整理をしていた。

「あ、おはようございます、宮永さん」

一瞬こっちを見た彼女は、今日もしっかりメイクに、春を先取りしたような、オフィスカジュアルコーデ。常に抜かりがない谷さんに、心底感心してしまう。私なんていつも髪は一つ結びだし、谷さんみたいなおしゃれな服は持っていない。洋服にお金をかける気がないのが、一番の理由だけど。

「あのどうかしました? そんなにじろじろ見て、私の顔に何かついてます?」

女子力が高い彼女を尊敬の眼差しで見つめていると、不審そうな顔をされてしまった。

「あ、ううん、なんでもない」

ごめんと言って、慌ててデスクに着く。そこでふと昨夜のことを思い出した。そういえば先生は、私の髪を褒めてくれた。長くて綺麗だって。たまにはおろしてこようかな。先生、どんな反応するかな。

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