俺様ドクターの溺愛包囲網


やっぱり弟とは真逆だと思ってしまう。今接してきたばかりだから余計に。

「どうされました?」
「これ、この前学会に行ったとき買ったんだけど、よかったら食べて」

要先生が和柄の包装紙に包まれたお土産を差し出してきた。

「え? いいんですか?」
「いつも弟がわがままばっかりいって困らせているからさ」
「そんな……ありがとうございます」

やっぱり要先生は紳士だ。顔よし、性格よし、頭よし。パーフェクト人間とはまさに要先生のことだろう。

「呼び止めてごめんね、それだけ渡したくて。それじゃあまた。颯士があんまりひどい態度だったら俺に言ってね」
「いえそんな、大丈夫です。ありがとうございます」

張り切って答えると、要先生は笑顔で行ってしまった。

デスクにつきお土産を開けてみると、中には京都のお菓子が入っていた。きっと色んな人に配っているんだろうけど、やっぱり嬉しい。

一つ食べて、残りの二つは弟の真宙(まひろ)にあげよう。この包装紙はなにかに使えるかもしれないから、とっておこう。

我ながら貧乏性だなと苦笑いしながらそれを畳んでいると、背後に気配を感じた。

「なに一人でニヤニヤしてるんだ?」


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