俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
でも確かに谷さんの言う通りだ。私は女子力皆無。どこを探しても、反論の余地が見当たらない。
そこに入り口のドアが開く音がした。見れば、日比谷先生が入ってくるところだった。
「あ、日比谷先生おはようございます!」
いったいどこからそんな声が? 頭を抱えたくなるような甲高い声で、谷さんが挨拶をする。
そして小さく跳ねながら先生にすり寄っていく。
「先生、何か急ぎの仕事があれば私、今手が空いてるので、伺います」
「ない」
だが先生は素っ気なく突き放すと、自席へと着いた。
「先生、今日も安定の不愛想ですね」
頬を膨らませながら戻ってきた谷さんが、私にこそっと耳打ちする。先生のあの態度も露骨だしどうかと思うけど、いつも冷たくあしらわれているのにめげない谷さんの根性もすごいと思う。
「いつもニコニコしている要先生とは大違い。いったいどんな育て方したら、こんなにも兄弟で違いがでるんだろう」
ふいにその話題を出され、ドキッとした。
「そうそう、宮永さん、知ってます? ここだけの話、院長、体調が悪いらしいですよ」
「え? そうなの?」
「はい。みんな噂してます」