俺様ドクターの溺愛包囲網
やっぱり二人は仲が悪いの? それとも……?
「宮永は行かせない。お前にも渡さない」
独占欲丸出しな言葉を放った日比谷先生を前に、思わずあんぐりと口が開いてしまう。それって、どういうこと?
「颯士らしいな。まぁ、そういうことなら、今回は大人しく身を引くよ。じゃあね、宮永さん。また」
要先生はあっさりと引き下がり、医局を離れていく。よくわからない二人だ。日比谷先生も日比谷先生だけど、要先生も掴めない人。
って、あれ……。
ホッとしたら急に冷や汗が。心なしか、目もチカチカする。あ、私、倒れる。咄嗟にそう思ったの同時に先生が崩れ落ちる私を抱きとめてくれたのが分かった。
けれど、私の名前を呼ぶ声は遠くに感じ、頭の中がどんどん霞がかっていく。あー私、また日比谷先生にダメなところ見せてる――。
視界が、真っ暗になった。
◇◇◇
次に目を開けたときは、医局のソファにいた。
「気が付いたか?」
徐々に意識が鮮明になる中、視界に飛び込んできたのは、日比谷先生の顔。その顔を見た瞬間、ホッとする自分がいた。