俺様ドクターの溺愛包囲網


先生がここまでが運んでくれたのだろうか? そういえば前にも、こうやって運んでもらったような気がすると、浮遊感の中、そんなことを思い出していた。

あの時も、大きな腕に包まれ、ほんのりシトラスの香がした。いったい誰だったんだろうってずっと思っていたけど、きっと日比谷先生だったんだろう。彼のことを色々知ってしまった今だから、それがわかる。

「診察する」

日比谷先生が聴診器を取り出すのを見て、ぎょっとする。それはつまり、胸の音を聞くってこと?

嘘、どうしよう。まさかこんなことになるなんて思ってもいなかったから、下着が超絶ださい。確か今日着けているのは、可愛さの欠片もない、グレーのノンワイヤーのブラだったはず。

でもここで躊躇した方が笑われてしまうかもしれない。何意識してるんだって。だって先生にとってこんなの日常なのだから。意を決し、ブラウスのボタンを上から外していく。心臓がありえないくらいドキドキしている。

「おい、宮永」

すると、先生の呆れたような声が耳に届いた。

「はい。何か?」
「何してる」
「何って、上着を脱ごうと」
「脱がんでいい」

え? 脱がなくていいの?


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