俺様ドクターの溺愛包囲網
喉の奥が緊張で張り付く。目はじわじわと熱くなっていく。気が付いたら後先考えず口にしていた。
「先生が、好きです」
腰掛だって拒絶しないでください。秘書という立場で、一括りにしないでください。私を見てください――。心の中で必死に乞う私を、先生は真っ直ぐ見ていた。
なにを考えているのか、まったく感情が読めない。次に出てくる言葉を聞くのが怖い。
「宮永」
緊張でおかしくなりそうな私に、先生が変わらぬ口調で声をかける。そして髪をそっと撫でた。
「今日はおろしてるんだな」
「え?」
「俺が前に褒めたから?」
「あっ……は、はい」
「気が強いくせに、可愛いとこあるんだな」
優しく微笑むと、先生は私の後頭部に手をまわし、引き寄せる。えっ、これは……?
「あの、先生?」
「今日は逃がさない」
俺様な発言に、思わず素っ頓狂な声が出そうになる。つまり、先生も私のことを受け入れてくれたってこと? わからない。わかり辛すぎる。でもそれでもいいと咄嗟に思い直し、ぎゅっと目をつぶった。と、その時。
――ピリリリ
静まり返った部屋に着信を知らせる音が響いた。