俺様ドクターの溺愛包囲網


スマホの向こうから呼びかける声がする。でも全く耳に入ってこず、私はその場によろよろとしゃがみ込んだ。

「代わる」

混乱する私に代わり、先生がスマホを取る。そして相手と話をしていた。真宙は生きているの? 真宙まで私をおいていくの?両親が亡くなった時のことを思い出し、涙がハラハラと頬を伝う。

あの時もそうだった。私が警察から電話を受けて、職場から大急ぎで病院に向かって。でも着いたときには……。両親の青白い顔が、脳裏をよぎる。

「宮永、行こう。うちの病院に搬送してもらうことにした」
「せんせ、私……」
「しっかりしろ。お前はあいつの姉だろ!」

怒鳴られハッとする。そうだ、真宙が待ってる。行かなきゃ。お願い、真宙、無事でいて。

放心状態のまま病院に着くと、真宙は救急外来に運ばれたということだった。先生は私に待合室で待つよう指示すると、慣れた様子で中へと入って行く.。

真宙の怪我の程度はどのくらいなのだろう。意識はあるの? もし死んじゃったりしたら……。

よからぬことが頭を駆け巡り、外来の待合室で一人ガタガタ震える。少しして、慌ただしい声が近づいてきた。

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