意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!
(ねむい……だる……)
翌朝。
幸い酒に強い体質のお陰で、ほろ酔いくらいでは二日酔いは訪れない。
そんなに遅くならず、しっかりメイクも落としてベッドに入っていた昨夜の自分を褒めてやろう。
(でも、せっかくの休み、もったいない……ねむい……)
ベッドの上、ごろんと寝返りを打っては眠い、起き上がっても眠くてまたごろん。
それで、一日潰しちゃう?
『本当だったんですね。年下嫌い』
『池田さん、輝に気があると思うよー? 』
(…………)
どっちの声を思い出して、どんな気分になったのか複雑で上手く言えないけど。
何となく、貴重な休みを不貞腐れて過ごすのは嫌な気がしてきた。
「……起きる……」
偉い。
偉い偉い偉い!!
大体、年下嫌いが何よ。
別に、普通に友達でいる分にはいいんだもん。何も悪くない……はず。
それだって、もちろんただの好みとかそういうんじゃない。
私にだって、それなりの理由がある。
多感な子供の頃、ううん、子供じゃなくったってあんなことがあれば、誰だってトラウマになる。
そうよ。純粋な愛情をもっていた相手に、まだ何も知らないにも関わらず、夢も理想からもはかけ離れた経験をさせられたら。
この歳になっても、まだ恐怖症を患ってたって――……。
「……出掛けよ」
――忘れよう。そう思ったのは、いつが最後だっただろう。
・・・
こんな日は、身だしなみを整えるに限る。
落ち込んで何もする気が起きなくて、そのまま適当にも程がある姿をしてると、そんな自分を見て余計に辛くなるから。
お湯を沸かしながらいつも行く美容室を予約サイトで見てみると、前回担当してくれた美容師さんは既に埋まってた。
(急だしな。ま、いいか)
ちょっと整えてもらって、トリートメントだけなら失敗もないだろうし。
いい感じにくしゃっとなったままのベッドが、後ろで誘惑してる。
負けないうちに、さっさと出なくちゃ。