意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!








「送るよ。……送らせて、お願い」


テディベア一匹と、お土産のマカロン。
片手には、陽太くんの手。
帰り道、両手の塞がった私は、何だかバランスを上手くとれなくて、足元がふわふわしてる。


「き、今日はありがと」

「俺の台詞。きっかけが何だとしても、輝とデートできて嬉しかった……って、違うね。何だって(・・・・)輝といられるようにもっていってるんだ。俺が」


知ってる。
私も、私が知ってることに気づいてる陽太くんも。


「輝」


なのにどうして、敢えて告げたのか。
甘い告白が、どうして急に止んだのか。
砂糖中毒みたいに摂取しすぎたからか、普通の会話に脳が違和感を訴えてる。


「俺のこと、考えてみてくれないかな。彼氏候補として」


一瞬、怯んだのか。
指に力が入らず緩んだのか、それともきゅっと強張ったのか。
自分では分からなかった変化を陽太くんがいち早く察して、解けてしまわないようにもう一度絡め直した。


「俺……本当に輝といる為だけに、今まで生きてきたんだ。大袈裟だって笑う? ……引く、かな。でも……そうとしか言えない。本心だから」


笑えない。
その愛情が正しく純粋なものでできてるのか疑問でも、本心だってことは十分伝わってる。


(正しいって? 純粋って……)


そんな感情、恋愛にあるのかな。


「俺にもチャンスくれない? それに……権利も」

「権利……? 」


堅い言葉に、少しまた身構えたけど。


「うん。……輝を、大切にする権利」


マンションの前まで来ると、吐息とともに更なる甘さが耳元に届けられる。
カフェに向かう途中みたいに、再び抱きしめられたんだと脳が理解した途端、耳朶がじんじんと熱で疼いた。


「特別じゃなくてもいい。今までの男に何となくあげたみたいに……俺にもそれ、くれない? ……ダメ、かな」


でも、腕は緩まない。
そういえば、言葉はストレートに突き刺してくるのに、行動ではそれほど強引なことはされなかったのに。
もう限界って感じで、きつくきつく締めつけられる。


「輝が軽いなんて意味じゃないよ。俺の今までこそ、そうだし。でも、運命っていうか、それがそういうのじゃないって最初から分かってたら、気軽になるの仕方なくない。好きで好きで……愛してるって思ってからしか付き合えなかったら、恋愛なんて廃れてるよ」


言いたいことは何となく分かる。
恋愛に興味が出始めた時、早く早くって焦った時。
婚活とか合コンとか紹介とか。
それだって、最初から「大好き」はなくても、まずはそこから始まる恋愛だってある。
もちろん、双方の意見が一致してることが前提ではあるけど。


「俺にとっては、輝は唯一の存在だけど……気持ち、強制はできないから。だから、輝はもっと気楽に考えてくれて構わないんだ。……ね、輝。好きだよ。好き……もう、あんな痛めつけるようなこと、二度としないから、だから……お願い」


――俺に、大切に大切に愛させてください。





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