意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!
・・・
『無事に着いたよ』
送信した報告に返ってきたのが、『よかった。おかえり』で少し笑えた。
陽太くんは、まだ働いてるのにね。
すぐに電話がかかってくるんじゃないかと身構えたけど、そんなことはなくてほっとする。
私用で長時間外に――いただけじゃなくて、端から見ればただイチャイチャした後、仕事中に私用電話しようものなら、さすがに陽太くんの今後が心配だ。
夜になっても、原因不明のモヤモヤが消えてくれない。
身体のどこかに、何かが引っ掛かっているのに見つけられないみたいな居心地の悪さ。
彼氏ができた日にこんな気持ちになるなんて、私、おかしいのかな。
それとも、選択したことがおかしいんじゃないかって疑ってる……?
「あ……」
『お疲れ。今話せる? 』
陽太くんからのLINE。
なんとなく、この感じで話しちゃいけない気がして、深呼吸してから電話をかけた。
『輝……! 大丈夫だった? 何事もない? 』
コール音が鳴ったのか怪しいくらいの早さで出てくれた陽太くんの声は、まるで数日連絡が取れなかったみたい。
「無事だってば」
心配してくれてるのに、ちょっと笑ってしまう。
『うん、でも……大丈夫だったかな、って思って』
「あ……」
何かを飲み込んだような返事に、その理由が分かった。
「ごめん。連絡遅くなって」
『……っ、ううん。俺こそ、ごめん……こんなの、監視されてるみたいで怖いよね。でも、どうしても気になって気が気じゃなくて』
まっすぐ帰っているとしたら、帰宅には遅い時間だった。
きっと、ものすごくやきもきして待ってたんだろうな。
「途中で知り合いに会って、その……」
『……そっか』
明らかに変な「その」だ。
それが、ただの知り合いでも、ただ単に立ち話してたんでもないって証明してる。
「会って……告白されてた」
『……っ、それ、』
「断ったよ……! 」
息を飲むのが聞こえた瞬間、被せるように答えた。
陽太くんと付き合ってて、他の人にOKするわけないのに。
私のせいで自信がないんだってことが申し訳なくて、できるだけすぐに教えたくて。
『……だよね。ごめん、疑うみたいに言って。でも……』
これから、陽太くんの謝り癖、治してあげられるかな。
ううん、治してあげられるようにしなきゃ。
『よかったあぁぁ……』
ずっと止めてた息をやっと吐けたような。
本当に嬉しいんだって声と一緒に聞こえてきて、今度はとても笑えない。
『ありがと。絶対……絶対、後悔させないから。だって、俺の方が絶っっ対、輝のこと好きだし。輝以外いないし、本当に俺の方が』
「え、う、あの」
「俺の方が」
「絶対」
一息にこれほど繰り返されて、次に続く言葉を予想して照れてしまう。
『輝のこと、喜ばせてあげられる。……口だけじゃなくて、ちゃんと証明してくね。大好きだよ、本当に』
――あいしてる。