意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!
翌週。
仕事帰り、例の美容室の近くで待ち合わせをして。
「輝! ごめん、平日に呼び出して」
「……話したいことってなに? 」
美容師さんの方が忙しいと思う。
土日仕事なのも、少なくとも私よりは、終日仕事に追われてるだろうなってことも想像つく。
「うん……どうしようか。どこか入りたいけど……あんまり、外でできる話じゃないよね」
なのに、そのどれも言えなかった。
私が後に着いたのに、謝ったのも彼だ。
(……だって)
無理もないと思う。
「外で話せない」ようなことをしたのは、子供の頃の可愛い陽太くんだ。
「……この先に、広場あったね。行こっか」
そんな相手に、まさか「うち来る? 」なんて言うことも言われることもあり得ない。
無言でいることがイコールそれだって伝わったのか、悲しげに笑ってその方向へ目で促した。
「傷つけてごめん。あの頃……特に引っ越し間際は酷い態度で。挙げ句の果てにあんな……」
「……あんな、なに」
その先が言える?
私は大人になった今でも、その後起きたことを誰にも言えない。親はもちろん、友美にだって。
「……レイプでしかないこと。あれから少し経って、成長するにつれて本当に後悔した」
「無理やり」とか「襲った」とかじゃなく、はっきりその言葉を使ったのは驚いた。
「そうだよ。あれはキスじゃない、未熟だとかそんなんじゃない。思春期のセックスでもない。あんな……っ」
言えないのが、私だってことが悔しい。
そう、あれはレイプだ。
そこまでいかなかったとしても、「未遂」だなんて絶対に言わない。
――たとえ、それが当時小学生だった陽太くんだったとしても。