意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!
我慢させっぱなしだよね。
陽太くんはもう、あんなふうに力や言葉を使って怯えさせたりしない。
分かってはいても、初めて――あの記憶の有無に関わらず、今日が初めてだってことに緊張して「気にしないで、して」とは言えなかった。
「……見すぎ……」
視線があらわになった胸に集中して、服を着たままの陽太くんに抗議した。
「だって、可愛いんだもん。ただでさえいくらでも見てたいのに、こんなに可愛くなられたら堪らない……」
視線を感じていっそう主張するそれを隠そうとしたけど、許してくれない。
それどころか、
「だーめ。俺も脱ぐから許して」
なんてあっさり脱がれてしまうと、不公平だと文句も言いたくなる。
「それは仕方ないよ。輝の裸の方が価値があるの当たり前だし。恥ずかしくないわけじゃないけど、俺とは全然……」
「……そんなことない……」
大人なんだ。
男の人なんだ。
それこそ最初から知ってた当たり前のことを再確認して、私だって照れながらも見ていたくなる。
「……ん……恥ずかしいね」
照れ隠しか、私の緊張を和らげる為か、もう一度唇が上がって、キスが繰り返される。
「仕返し」
息を飲んだのに、ちょっと意地悪に笑って。
嬌声を飲み込んだのには、すごく残念そうにそんなことを言った。
「何の……っ……」
その仕返しは甘く、強い。
「輝に意地悪されるの、嫌いじゃないけど。あ、昔からね」
(……バレてた。それ、いつからなんだろう……)
陽太くんが可愛いだけじゃないのは、もうずっと昔。もしかしたら、初めて会った時からなのかも――……。
(……ん……? )
「今は負けたくないの。ね、お願い。気持ちよくなってて? そうやって、何か他のこと考えてたら……」
何か今、ものすごく重要なことが頭を過った気がしたのに。
「……俺だって、優しい意地悪したくなるよ」
クスッと笑われたのは、今度こそ声が漏れたからかな。
それとも、触れて、そっと転がされた硬さにだろうか。
「……優しくない。意地悪」
「そう? じゃあ、どうしたら輝がよくなるのか言って。……もっと、俺に教えて」
その間、指、掌、唇――舌も。
「優しい意地悪」が先端に続き。
もう何も教えることなんかないくせにって、言いたいけど言いたくなくなる。