意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!
膝、内腿。
既に通り過ぎた場所に戻られて、身体が縮こまる。
「……大丈夫だよ。言ったとおり、輝が許してくれるとこまでしか触れない」
びっくりしたのは私の方。
ぽかんとしてたのかな。
残念そうにしてた?
「そのまま、入っちゃうと思った? ……できないよ。俺にはそんな資格……」
「あるよ」
その顔を誤解して、そんなことを言うのを遮る。
「誰だって、誰にも無理強いする資格なんてないけど。これは、無理やりじゃないから……だから」
これは、あの時みたいなレイプじゃない。
私自身が望んでるって、そう言えばいいのにね。
意地悪してもなお、未だに押しきれない陽太くんに、私が我慢できなくて、してほしいって伝えるべきなのに。
まだ、照れちゃってごめんね。
「……っ、輝……」
首筋に沈んだ唇が、器用に名前を呼んで。
「痛くない? 嫌じゃない? ……ね、輝……」
――気持ちいい?
まるで、処女みたい。
初めての彼氏みたいに、いちいち確認してくれる。
「言ってね。嫌なとこも、そうでもないとこも。本当にいいとこ、早く知りたいから……」
そんな余裕、ないってば。
今、私の口から出てくるのは。
「……あ……っ」
あ、とか。ん、とか。他は。
「……陽太く……」
彼の名前だけ。
「だめ、だよ。逃げないで。恥ずかしいことなんて、本当に何もないから……。どんな輝だって、好き……ずっとだよ。輝なら、どんなことしてたって、どんな顔してたって可愛い……どうしたら、伝わるんだろ」
伝わってる。
どうしてかは分からないけど、陽太くんが本気で言ってるってこと。
「他の男は知ってる、でしょ……っ……。輝のこんな顔、見て……なに、したの? 気持ちよくしてくれた? それとも、優しくしてくれた……? ね、教えて、輝……っ」
それほどの思い出はないって言ったのに。
私が嫉妬したのと同じように、それを知れた人を羨んでくれて。
「ほんと……殺してやりたいよ。初めての相手は特に。口説き落として、輝のなか傷つけて……なのに、輝に好かれてた奴、殺したい……」
「……どこでどうしてるかも知らないよ……? 」
いつかの話が更に大きくなってる。
宥める為というより、本心だ。
きっと、どこかで結婚して幸せになってるんじゃない。
「無頓着だね。女の子の初めてって、男よりずっと残るものかと思ってた」
「そんなの人によるよ。……それに、今それどころじゃない……」
いつかの初体験より、今の幸せと恍惚に浸るしかできない。
それほど、この陽太くんとの“二回目”――恋人としての初体験は私には強烈だって、どうして分からないんだろ。
「輝は。また、そんな俺を喜ばせるようなこと言って、逃げるんだから」
「に、逃げてなんかないよ……っ」
失礼だな。
こうやって、くっついてるのに。
「ん。知ってる。この、輝が離してくれない感じ、すごい幸せ……だけど、結構やばい……かな。ずっとこうしてたいのに、気を抜くと俺がいかされそう……輝、ずるい……」
「ず、ずるくない……! 」
そういうこと、言わないでほしい。
自分でも止めようのない現象を言葉に換えられると、意識してしまって、更に――……。
「え、ずるくないの? 勝手にきゅってなっちゃう? ……可愛い……っくて、やっぱどうにかして前の男、死んじゃえばいいってなる……それか……それかさ」
――早く、輝の一番になりたい。