意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!
(もうなってるのに……)
なってるからこそ、こうだってことだけ、なかなか通じない。
「心配、なんだよ。俺、今、ちゃんと現実見てんのかな。輝のなかにいて、それ、本当に輝が受け入れてくれてるのかな。都合のいい妄想じゃないかって……だって、俺」
暴れてもない。
やめてって、泣いてもない。
それどころか。
「悔しかったから。こうしてる今も、大人になってもっと可愛くなった輝が、他の奴にされてるのかなって思いたくもないこと思いついて、消えなくて……ますます、狂うしかできなかっ……」
自分からキスして、絡めて、ここから更に繋がろうとしてる。
「陽太くんが好きなのも、してるのも現実」
引っ越してからの陽太くんは、本当に辛い生活を送ったんだ。
普通に見れば、恵まれて輝いて不満なんてないように映ったとしても。
もしかしたら――きっと、私よりもずっと。
「……っ、ありがと。でも、乱暴なことしてたら止めてね。輝には絶対できないし、しない……けど、けど今、頭、完全にイッてる。好きと可愛いと、輝、良すぎしかない……」
(最後のは、余程興奮してるからでは……あとは)
「いつもと変わんない? 」
好きと可愛いを、もう何度聞いたか分からない、けど。
「うん。だっていつも……ずっと好きだから」
「……ありがと……」
正直、相当だと思う。
可愛いもかなり、目が曇りすぎてると思う。
でも、何度聞いても慣れないし……嬉しくなってしまった。
私も同じ。
陽太くんに、相当イッてる。
「輝……あのさ。輝……? 」
「……ん……っ? 」
本当に本当にもう、ダメで。
かろうじて意識があるようなのを見計らうように、陽太くんに呼ばれた。
「笑わないでね。そんなとこじゃないから」
確かに、それどころじゃない。
それに、このタイミングってなに――……。
「……一緒がいい。一緒にいきたい……」
どこを見てるのか分からないような、淀んでいるようにも見える目でそんなこと言われて、かあっと熱が脳まで支配したはずなのに。
「あー、やっぱり笑った。冗談じゃないのに」
「だって……」
ひなの口癖を、こんなところで陽太くんに言われるなんて。
「昔の俺みたいで可愛いって思った? それとも、そんなの難しいって笑ったの。どっち? 」
ぷっと吹き出して、クスクス笑う私に可愛く拗ねていたのはほんの一瞬。
すぐに、少し意地悪な言い方をして、一気にムードを戻される。
「輝となら、難しくないよ。……でも、どっちかが我慢しなくちゃ……っ、だけど……」
どっちか、じゃない。
それは私に決まってる。
今度は私が不貞腐れて笑われたけど、一度合図のように優しくキスされた後は、もう拗ねることすら許されない。
「……きら。輝……」
熱にうなされて、自分の名前とは思えないほど甘い囁きを聞き続けて。
ただ、ただ、その「一緒」が来るまで――ひたすら、意識を保つので精一杯だった。