意地悪幼馴染みが優しくなって帰ってきたけど、全然信用できません!!
・・・
「……っ、夢、かな。これ……」
――輝が、こんなこと。
「だってさ。なんか、すごく悪さしてる気分になる……。大好きな輝に、こんなことさせてって……やば……い……」
改めて言わないでほしい。
「そんなに恥ずかしいこと」してるって、脳がインプットして固定されてしまう。
珍しく、髪に触れる指の動きが荒い。
それでも愛しそうなのは変わらなくて、次第に荒っぽくなるのを何とか制御しようとしてるのが伝わってきて余計に甘い。
「無理、しなくていいよ。輝はしなくても、俺……」
「……いや? 」
気を遣ってくれてるんだって、知ってるのに。
他の子はどこまでしたんだろって、またそんな嫉妬をする自分にモヤモヤする。
「……っんな、わけない。自分からしてくれるくらい、好かれてるんだってすごい嬉しいし。……分かってるでしょ、いいんだって……」
「……じゃあ、やめない」
私に甘いのは嬉しい。
でも、他の子にしたことも知りたいと思ってしまうのは、身勝手な独占欲かな。
「……っ、ずる……」
でも、したいと思った。
それはもちろん、陽太くんが。
「……すき」
「それ、ほんと狡い……」
好きとか可愛いを呟く破壊力、すごいんだからねって、ちょっと仕返しできたみたいでいい気分――……。
「輝が苛める。仕返ししなくちゃ」
――だったのに。
なぜか満足げの私に、頬を赤らめていたのも束の間、屈んでいた私が起き上がるのを手伝ってくれて、そのまま腰を抱き寄せられた。
「な、なんで仕返し……」
(持ち直すの早……)
「輝、気づいてなかったんだ。昔もそう。輝がそうやって、ちょーっと意地悪なことするたびに、俺も俺の方法で仕返ししてたんだよ」
「ど、どんな? 」
裸だと、少しぐいっと寄せられて身体がぶつかっても、トン、って感じがしない。
しっとり吸い寄せられるように胸が当たるのがやけに卑猥に感じて、倒れ込むには不自然だと知りつつ、陽太くんの胸に背中を預けた。
「輝が俺といてくれるように。泣き真似……じゃないね。わざと泣いて、輝に抱きしめてもらって、キスしてもらえるように。ちょっとずつ成長しても、変わらず“あきちゃん”ってできるだけ高く可愛い声で呼んで……でも、頭では」
――結構前から、あきらって呼んでた。
「……っ」
舌が這う前から、既に赤くなってたんだと思う。
期待してるのをクスッと笑ったのに、陽太くんがそこに触れることはない。
何も言わず、望んだとおり耳に触れてもらえたのに、反射的に捩る身体をやんわり捕まえられた。
「だから、今もするね。意地悪された分のお返し」
そんなこと、初めて知った。
気がつかなかったってことは、つまり。
――ちっとも嫌じゃなくて、すっと受け入れてたってこと。