一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



────と、そんなこんなで。



「うん、すっごく似合ってる!」



お昼に友香ちゃんから電話をもらって数時間後の今、私はお店の制服を来て立っている。


このお店は、友香ちゃんがアルバイトをしているレストラン。


夏休みに入り、お店が忙しくなる一方で、部活の合宿やら試合やらで忙しくシフトに出られる人がおらず、人手不足に悩んでいたらしい。


店長からどうしてもと泣きつかれ、私はその助っ人に選ばれた。


私に接客は無理だと断ろうとしたけれど、ホールではなくキッチンの担当で、主に皿洗いだと言うから、引き受けることにした。


大事な親友の頼みだし……


友香ちゃんにはいつもお世話になっているから、こんなことでいいのなら恩返ししたい。


白い服に身を包み、まるで気持ちはコックさんになったかのよう。


どんな料理も簡単に作れそうな気分。



「じゃあ瑠莉ちゃん、申し訳ないんだけどよろしくね」


「はい、こちらこそよろしくお願いします」



店長さんにざっとやるべき仕事の説明を受けて、人生初のアルバイトが始まった。




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