一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



「なんで琥珀くんがここに?」



疑問に思ったことをぶつけてみる。


どう考えても普段こういう所に琥珀くんは来なさそうだから。



「今日のシフト、熊元がいなくて1人だっていうから様子見に来た」



こういうところが見た目と反して優しい琥珀くん。


心配してきてくれたって、やっぱり嬉しいじゃん。


私の胸がトクンと音を鳴らす。



「ご、ご注文は!?」



なんだか恥ずかしくなって、気持ちを隠すように問いかける。



「んー、じゃあアイスコーヒー」


「アイスコーヒーですね、かしこまりました」



カタコトになってぎこちない接客。


ただでさえ初めてなのに、琥珀くんが緊張させるから。


そそくさと退散しようとしたけれど、「ちょっと待って」という琥珀くんの言葉で立ち止まる。



「どうしたの?」


「いや、なんでもない」



変な琥珀くん。


この日、琥珀くんはアイスコーヒーを一杯だけ飲んで帰って行った。


お客さんとして来てくれた琥珀くん。


会話を交わしたのはたった数分だったけれど、それだけでも心強かった。




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