一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「よう、瑠莉」
時間に余裕を持って出たはずなのに、待ち合わせ場所にはもう既に琥珀くんが待っていた。
「待たせちゃったかな、ごめんね」
「全然待ってないから大丈夫」
それならいいのだけれど。
ちょっとだけ申し訳ない気持ちになった。
「瑠莉を連れていきたいところがある」
ぶっきらぼうにも聞こえるその言葉。
でも、琥珀くんの目は真剣だった。
私はこくんと頷く。
「ちょっと距離あるけど、着いてきて」
言われたがままに琥珀くんの後ろを着いていく。
琥珀くんは歩くのが遅い私に歩幅を合わせてくれた。
こんなところにも小さな優しさがある。
学校の最寄り駅から電車に揺られること30分。
その後バスに乗り換えて、20分くらいのところ。
琥珀くんに連れてこられたのは、親が様々な理由で居ない子どもたちが暮らす、児童養護施設だった。
「ここが俺の実家」
琥珀くんの口から出た言葉は、予想を超えるものだった。