一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



「本当にね、小さい頃は甘えん坊で私たちにベッタリだったのよ」



くすりと笑いながらそう話す職員さん。


それはそれは可愛かったんだろう。


あの琥珀くんが甘えん坊だったなんて、今となっては想像がつかない。


幼い頃のエピソードもいくつかお話してくれて、琥珀くんの意外な一面を知ることができて嬉しくなった。



「でもねぇ、中学に上がってからちょっと荒れてる時期があってね、学校も不登校になった時もあったのよ」



それはなんだか想像がつくような気がした。



「きっと物心ついて周りと比べるようになっちゃったのかしらねぇ」



本当の親がいないなんて、私には想像がつかない。


家にはお父さんとお母さんがいて、毎日温かいご飯が出てきて、みんなで食卓テーブルを囲んでお話しながら食べる。


そんな当たり前の毎日が、ここではたくさんの友達や職員さんがいても、私の知る生活とは全く別のものなんだろう。



「でもね、根は本当に優しい子だから、小さい子の面倒みは良くてね、よくお世話もしてくれてたのよ」


「琥珀くんが本当は優しいの、すごくわかります」



いつも私を助けてくれる琥珀くん。


それは幼い頃からずっと変わらない、琥珀くんのいいところ。


そんなところが好き、かもしれない。




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