一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
そんな平和ボケしていた私に事件が起こったのは、ある日の放課後の話。
席が1番前だからと目をつけられ、先生に呼び出されて手伝いをしてから、やっと終わったと教室に戻ろうとした帰り道。
廊下で天地くんの姿を見つけた。
天地くん、まだ帰ってなかったんだ。
いつも放課後はすぐに教室から出て行ってしまっていたから、とっくに帰っていると思っていたのに。
不思議に思っていると、天地くんの前に知っている女の子の姿を見つけた。
「……え?」
驚いて、なぜか廊下にある柱の裏に咄嗟に身を隠してしまった私。
なんで隠れているんだろう。
カバンを置きっぱなしの教室があるのは、天地くんたちがいる向こう側。
何事もなかったかのように通り過ぎればよかったのに、こんなことして余計に出て行きづらくなってしまった。
それにしてもあの子って…… 愛里ちゃんだよね?
去年クラスが一緒で、口数の少ない物静かな女の子。
今年は違うクラスになってしまったけれど、話してみれば笑顔が可愛くてとっても優しい子だった。