一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「……何?」
ぶっきらぼうで淡々とした低い声。
天地くんの鋭い視線が私を捉えている。
「あ、あのっ……」
言葉が出てこない。
隣にいる愛里ちゃんの目は潤んでいるようにも見える。
私が守ってあげなきゃ。
いつの日か私のことを守ってくれたあの人のように。
強くならなくちゃ。
それじゃなきゃまた健兄が私を心配する。
これは、私が独り立ちするための第一歩になるはず。
「だ、ダメだよ!いじめるのなんて!」
やっと口から出てきたのは、震えてしまって声にならない小さな声。
「お前、隣の」
私の声が届いたのか、届いていないのか、わからないけれど私の顔を見て天地くんは呟いた。
私のこと、隣の席の人だって知ってたんだ。
……って、さすがに1週間も隣の席に座っていれば覚えるよね。