一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



ううん。


今は驚いて納得している場合じゃない。


怖いけど、この場を乗り切らなきゃ。


健兄もいない。友香ちゃんもいない。


今は私1人だけ。


グッと拳を握りしめて、天地くんの目を見た。



怖い。

すぐに逸らしたくなる。

体が震える。

呼吸が浅くなる。



「あ、愛里ちゃんに近づかないでっ!!」



言えた。

私、ちゃんと言えた。



「行こ、愛里ちゃん!」



パッと手を引いて愛里ちゃんをそこから連れ出した。


廊下は走っちゃダメだなんて小学生の時に教わったけれど、そんなこと今は気にしていられなかった。


一刻も早くその場から逃げたくて。



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