一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
何とか口は動いたものの、体は動かない。
いつもならすぐに教室から居なくなってしまっているはずの天地くんがそこにいる。
今、私の隣にいて、その手には黒板消しが握られている。
私の手から黒板消し奪っていったのは、天地くん?
そんな天地くんは、私から奪った黒板消しで、私が届かず消すことができなかった上の方の文字を消してくれいた。
決して綺麗……とは言えないけれど、右から左まで全て消してくれた。
びっくりしてその場に立ち尽くしていた私だったけれど、驚いていたのは私だけではなくて、教室にいたクラスメイト全員。
物珍しい天地くんの姿に、みんな目を丸くしていた。
「……っ」
黒板消しを置いて、私を上から見下ろした天地くん。
真っ直ぐこちらを見られて、思わず目をそらし、ゴクリと唾を飲み込んだ。
天地くんは、教室中から注目を浴びていたことに気がついたのか、私から目線を外し、周りに鋭い視線をチラッと向けた。
そんな視線に恐れを感じたのか、こちらを見ていたクラスメイトは何事も無かったかのように友達と会話を始めていた。
天地くんの影響力はすごい。