一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
悪い噂。
他校の生徒を殴っていただとか、万引きをしたことがあるだとか、暴走族に入っているらしいだとか。
聞くだけで身震いしてしまうほど怖い噂たち。
話は聞くけれど、誰もそれを見たという人はいない。
きっと見た目から勝手に推測して流されたものなんじゃないか。
今までそんな根も葉もない噂を信じ続けていた私だけれど、困っていた私を助けてくれた天地くんを悪い人だなんてやっぱり思えない。
天地くんの疑いを晴らしたい。
どうしたらいいのかなんてわからないし、そもそも私は男の子と話すことでさえもままならない。
そんな私が何かできるとか限らないけれど……
私の頭の中は、もう天地くんのことでいっぱいになっていた。
結局友香ちゃんには信じてもらえないまま、お昼休みは終わってしまった。
授業が始まる本鈴の直前にどこからか天地くんは帰ってきたけれど、この後はいつも通り何も言葉を交わすこともなく、放課後になった。
今日は日誌を書き上げて先生に提出しなければならない。
休み時間の度にちゃんと記入をしていたから、あとは書き切ることができずにいた6限目の授業について書けばおしまい。
あと少しだからあまり時間かからずに帰ることができそうだ。