一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
「ちょっと瑠莉、落ち着いて?」
落ち着くも何も、友香ちゃんが突然変なことを言い始めるから。
大きな声と音を立ててしまったため、店内にいたお客さんからの視線を受けて、さらに恥ずかしくなって顔が真っ赤になるのがわかった。
「ちょ、ちょっと待ってね」
大きく息を吸って深呼吸をする。
まずは気持ちを落ち着かせないと。
うん、よし……もう大丈夫なはず。
「えっとそれでなんだっけ」
「もしかして天地に恋しちゃったの?って話」
「ま、まっさかぁ……」
あの事件があってからというものの、男の人を避けてしまっているせいもあり、恋愛なんて言葉は私の中に存在していない。
いや、その前も好きな人はいなかったかも。
ずっとお兄ちゃん大好きっ子だったし。
だから、私には恋愛感情で言う“好き”という気持ちはわからないでいる。