一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを
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定期テストの初日まであと1週間を切って、テスト勉強も追い込みの時期に入ってきた。
「瑠莉、1人で大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ!友香ちゃんも大変だけど頑張って来て?」
こんな時期だというのに、今日もアルバイトだと言う友香ちゃん。
どうも人手が足りないらしく、3日前までは短時間でも入って欲しいという店長からのお願いを断れなかったらしい。
その店長さんもとても優しい人だと言うから尚更。
「本当?」
「友香ちゃんは心配しすぎだよ〜。先生にわからないところ聞くだけだから」
「そう?何かあったら電話でもなんでもしてね?」
「ありがとう、友香ちゃん」
アルバイト中に電話に出るなんて無理なはずなのに。
いや……友香ちゃんならやりかねないかも?
でも、本当に大丈夫。
私がわからないところを聞きに行きたい教科が数学で、数学の担当の先生が男の人だから友香ちゃんは心配してくれている。
たとえ先生でも男の人となるとちょっと声が震えてしまう。
だからこそ、友香ちゃんは私のことを心配してくれているんだと思うけれど……
さすがに先生は何もしてこないだろう。
それに数学の先生は優しいと評判の人だし。
もうアルバイトの時間が迫っているというのに、なかなか帰ろうとしない友香ちゃんの背中を押し出すようにして見送った。