一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



「別に嫌ならいいけど」



口をつぐんでなかなか言葉を発さない私を見て、そう冷たく言い放つ。


天地くんの優しさも知ったけれど、この威圧感と雰囲気は男性恐怖症があるなしに関わらず怖くなる。



「いやっ、そんなわけじゃ……!」



それでも、天地くんに嫌な思いをさせてはいけないと、咄嗟に否定した。


すると天地くんの視線はゆっくり下の方へと移って言って……



「手、震えてんじゃん」


「これは……」



私の手の震えを指摘した。


ハッとして震えの酷い左手を右手で押さえる。


今更隠したってもう遅い。


天地くんにはバッチリ見られてしまっているから。


だからと言って理由を伝えることもできない。


あの出来事はあまり人には話したくない。



「ちょっとそのノートとシャーペン貸して」



ノートとシャーペン?


そう疑問に思ったけれど言われるがまま、机の上に広げっぱなしだったノートと転がっていたシャープペンシルを目の前にいる天地くんに差し出した。




< 53 / 207 >

この作品をシェア

pagetop