一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



それを受け取った天地くんは、問題集を見ながらサラサラっと何かをノートに記入していく。


私はその様子を静かに見守るだけ。


手が壁になって、何を書いているのか私の場所からは見えない。


しばらくして書き終えたらしく、天地くんはノートを私に戻した。



「ん」



1音しかない言葉に天地くんらしさを感じる。


返されたノートを見ると、私が解けなくてつまずいていた問題に解説が書き加えられていた。



「天地くん、これ……」


「その問題はその公式を組み合わせて使えば割と簡単に解ける」



見覚えのある公式はそれほど難しいものではなく、言われた通りに解いてみれば、ずっと頭を抱えて悩んでいたのが嘘かのようにスラスラと解くことができた。


その後も何問か解き方を教えてくれた。


どれも的確で、私が途中でつまずいてもまた少し戻って次はもっと噛み砕いて説明してくれる。



「すごいね、天地くん」



天地くんって頭良いんだね。


いつも授業中なんて居眠りしているのに。


教え方もとっても上手。


決してお世辞なんかじゃなくて、すごいと思ったのは本当の気持ち。




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