一途なイケメンくんととろけるくらいに甘いキスを



「別に」



褒めてもぶっきらぼうな返事しか返ってこないのは、天地くんらしい。


視線を合わせようとしないのは、彼なりの照れ隠しなのかもしれないと思うと素直じゃないところが可愛くも思えてくる。


それに、教えてくれている間ずっと一歩下がって教えてくれていた。


私のことを気づいてなのか無意識なのかわからないけれど、そんな配慮のおかげでいつ間にか手の震えも消えていた。



「天地くんって本当は優しいよね」



思わず口から出た言葉。


この前の黒板を消す時だってそう。


天地くんは、困っている時に必ず手を差し伸べてくれる。


みんなが思っているより、天地くんは話してみると怖い人じゃない。


噂だけが先行してしまっているだけ。


男性恐怖症の私が言うんだから、きっとそう。



「そんなこと、学校の奴に初めて言われた……」



予想外の出来事だったのか、天地くんは見たことがないくらい目を見開いて驚いていた。


なんだかそんな天地くんの表情が面白くて、思わずクスッと笑ってしまった。


おかしいね、男の子が怖くてたまらないはずなのに。




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