零度の華 Ⅲ

終わりと始まり



ウゥー、ウゥー

タッタッタッ、カシャカシャ


「ハァッ、ハァッ、ハァッ」



鳴り止まないサイレン

(おびただ)しい人の足音と、物と物とが擦れ合う音

走る吐息



いつも騒がしく鳴く虫たちも驚いているのか、全くと言っていいほど声を聴かせない



異常な光景に住民達も不安を隠しきれずに、安心して眠りにつけないことだろう




「あっちへ逃げたぞ!!」






追われる者と追う者がそれぞれの目的を果たすために走り回る


夜だというのに太陽がまとわりついているように汗が止まらない



一人に対して30かそれ以上と思われる警官に、5台ほどのパトカーを相手に鬼ごっこを20分も続けている


そろそろあたしの体力も限界だ


あたしは狭い路地を進みに進んで、警官の焦る声を聞きながらも足音が減っていくのを確認する

どうやら先回りをするようだ


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