零度の華 Ⅲ
亜紀の背中に付いて行き、車へと乗り込めば家を目指して車を発進させた
5年の月日が流れ変わらぬ街並もあれば、変わった街並があるのは当然
時代が進めば、時が経てば、変化していくのは必然
そんなことを悠長に思いながら外の景色に目に映すも、決して今の現状に目を背けているわけではない
脱獄を企て、実行したのも全て"次の時代"へと引き継ぐため
あのまま檻の中い入っていても確実に死刑
簡単に死刑という言葉で終わりたくない
殺し屋で最悪な凶悪犯だとしても、自分の死に場所を決められる筋合いはないと思う
世間一般の意見としては"ふざけるな"と言われることだろう
それでも、あたしはあたしの決めたシナリオで自分の死に場所を決める
これだけは譲れない
変なプライドというものだろう
通る道に必ずと言っていいほど、パトカーとすれ違う
上空にはヘリコプター
緊急配備をしき、何が何でもあたしを見つけようと目の色を変えて探し回っている
「警察の方も大変ですね。脱獄犯を見つけるのに時間と労力、体力、気力を使っているなんて。おそらく、全国に知れ渡っていることでしょうね。貴女が檻から逃げ出したと」
『あたしは動物園の動物じゃない。飼われているわけじゃないんだ』
「そうです。貴女は人間。誰も飼われているなんて言っていないじゃないですか」
そういう言い方をしていただろうが