零度の華 Ⅲ
「でも、貴女が凶悪で人に危害を与えるのは間違いではありません」
『回りくどい言い方をしないで、ハッキリ言え』
亜紀の言い回しに腹が立ったあたしは少し怒り気味で物言う
亜紀はあたしの方など見向きもせず、しっかり前を見て運転しながら済ました顔であたしに聞く
「殺した人数は数え切れず、世間を騒がせ指名手配をされていた殺し屋零(ゼロ)が今こうして私の隣にいる。何故、生きているのですか?死刑は免れない状況でどうやって生き抜いたのですか?」
『そんなにあたしが死んでほしいと望んでいたとはな』
「質問に答えてください」
求める答えだけ話せと空気から亜紀の意思が伝わってくる
あたしは少しだけ窓の外を見る
そして数分程の沈黙が流れるとともに、懐かしき家についた
『話は中に入ってからする』
分かりましたとかの言葉はなく、車を止め家に入る準備をしていた
中に入れば、5年前と変わっていない内装に安心感を覚えた
あたしは一直線に自分の部屋に入ると、前と変わらず綺麗にされており、ベットの横には愛用していた短刀などが立てかけられていた
鞘から刀を抜けば、波紋を輝かせていた
アイツ、磨いてくれていたのだろうか?
後で礼を言わないといけない
久しぶりの対面をもう少し懐かしみたかったが、後回しにして着替えとタオルを持ち、そのままシャワーを浴びに行く