零度の華 Ⅲ
シャワーから上がると亜紀はソファーに座って、携帯電話を弄っていた
あたしに気が付くとまだかと目だけで訴えてくる
あたしははいはいと返事をし、髪をタオルで拭きながら亜紀と少しでだけ距離を開けて座り、話し始めた
『お前はあたしが警察に飼われていたと言ってたな』
「そうは言って、」
『飼われていたよ』
「…………」
あたしは亜紀の顔を見た
亜紀は弄っていた携帯電話を手に持ったまま何も言わず、ただあたしの話を聞く
『飼われた、は間違いだな。自ら飼われにいった、というべきか?あたしが捕まったあの日………』