零度の華 Ⅲ
あたしは最後の力を振り絞って全力で走り、警官を遠ざける
スピードを上げたことに焦る警官達
あたしは急いで、ある建物の中に入る
あたしの姿を捉えられなくなった警官達の声がドア越しに聞こえる
「そっちはどうだ?」
「こちらには来ていません」
「私達のところにもです」
「チッ。追うぞ」
そう言って過ぎ去る足音を聞き、乱れた呼吸を整える
警官の目を逃れて逃げ込んで入った場所はある人物がいる建物
建物の中は何も変わらず当時のまま、入り方も同じで助かった
あたしは息が整ったところで奥に進んでいく
今も変わらない作り
階段を降りていき、ドアの前までくるとノックを3回する
「最強の矛」
あぁ、懐かしい声
『最弱の盾』
相手もいるはずのない、いや生きているはずのないあたしの声を聞き、合言葉を全て言い終わる前にドアを開けた