零度の華 Ⅲ
「!?お前生きていたのか」
『あたしは死んでいるよ。一度な』
そう言って5年前と変わらない緑‐リュィ‐を邪魔そうに中へと入る
「お前、どうやって生き延びたんだ」
『言っただろ?一度死んでいると』
あたしは飾ってあった拳銃を自分の元へと引き寄せ、触れた
だんだんと体の熱が落ちていく手では感覚がよく分からないが、ただただ懐かしさだけが体を巡るように伝わってくるも、これじゃないとすぐに元の場所へとそれを戻す
「おい、聞いているのか?」
あたしは緑の方へと振り返る
返事はしたはずなのに、それでもまだ答えを求めようとしている
『話なら後でゆっくりしてやる。今は取り敢えずアイツに連絡をさせてくれ』
緑は携帯電話を取り出してあたしにそれを投げて言う
「上が騒がしかったのはお前のせいか。お前のせいで客が減る」
あたしは受け取った携帯電話を手に取り、ずっと覚えていた番号を打ち込む
『減るも何も、ここ最近は客なんてこなかっただろ』
「お前、何故それを知ってんだ」
あたしはそれを無視して携帯電話を耳に当てる