零度の華 Ⅲ



『パソコン、貸して』



隣に居た佐々木の腕に抱えられていたノートパソコンが机へと置かれる

誰の目を見ずに電源を入れ、起動させた後、キーボードを打っていく



カタカタと鳴らしていくこと3分程、手を止めて鷹見の方を見る


目が合うと眉を動かせた鷹見


気にすること無くパソコンの画面を鷹見へと見せると、真剣に画面を見つめている


そこに写し出されているものは………



「誰だ」


『誰って、さっきの話でそれは無いだろ。ソイツがあたしの偽物"だった"奴だよ』



あたしは、監禁生活から解放された後、3件の仕事をしている

その中で1人だけ裏の人間が混じっていたから、ソイツの顔写真を見せている


『保都村聖司(ホトムラ セイジ)25歳、職業は情報屋兼赤池(アカイケ)組の組員。その男があたしの真似をしていた奴だ』

「本当なのか?」



疑いの目は簡単に消えてくれない

鷹見の答えるとしたら"NO"だが、何度も言っているが亜紀の存在をバラすつもりは無い


『本当だ。お前達に監禁され、解放された後、鷹見の言う通り"偽物"について調べたさ。情報屋って事で零(ゼロ)(あたし)の事をどうにか調べて殺しを真似たんだと』

「理由は?」

『殺し屋零(ゼロ)に会ってみたい。ただの好奇心だ。殺し屋零(ゼロ)の情報は誰も掴むことが出来ない激レアアイテムと一緒。知りたいと思うのは情報屋の職業病だろう。その手段が、真似て誘き出すという考えだった。それを知った後は殺したよ』




我ながらいい嘘だと思う





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