零度の華 Ⅲ


「どこに行く気だ?」


『上だ。寝る』


「俺はここに居てもいいなんて言った覚えはねーぞ」



本当に何も変わってないな、あたしを嫌うあたりは


『もう亜紀にここで待ち合わせをしている。今更変更するつもりはない』


「警察に突き出してもいいんだぞ?」


『そんなことしたら、お前もムショ行きだぞ?』



自分からムショに入りに行くようなことはしないだろ

というか、そんなことはして欲しくないな

折角、使えると思って残しておいた数少ない道具なのだから


あたしは何も言わない緑に背を向けて、階段を上がり高級そうなソファーに横になる

店には客は来ないから緑があたしを殺そうとしない限り、安心して眠れる


5年前はあたしを殺すだけの力がなかったが、今は緑の方が上だろうな

5年もの長い間、体を動かしてないのだから体が鈍りきっているため、今襲われたら死ぬのは間違いない



あたしはゆっくりと目を閉じた




それにしても、今日は疲れたな

明日から忙しくなるだろうな………



あたしはそのまま眠りについた


< 5 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop