零度の華 Ⅲ
「何故、子供だけ生かした?」
あぁ、鷹見の事を好きになりそうだ
あたしの予想を裏切って、あたしを知ろうとしてくれている様だ
鷹見は全く、そうは思っていないだろうな
本当に、思わず笑みが溢れてしまった
案の定、不審に思い不気味がる4人
「何を笑っている」
『あぁ、すまない。気にしないでくれ。それより、何故子供だけ生かしたかって質問だったな。単純に親を殺された子供が事実を知り、何を思うか知りたかった』
「事実?」
『橘は、元は組織に所属していた殺し屋だ』
驚きを隠せないのは鷹見、仙道、佐々木の3人
遠藤はやり取りをしていたから、既に知っていたこと
今更、驚くことはないだろう
『仁霧沙也加はMIUNIT(ミニュイ)の専属医だった。夫婦揃って裏の世界にいたんだよ』
「そんな……」
『情報は入手出来なかったか?』
佐々木の言葉を遮ってあたしは話す
『そうだよな。2人の情報を隠していた協力者がいるし、第一、表の世界で人生を歩もうとしていたんだ。望んで此方側に足を踏み入れた訳では無いから逃げたし、普通の暮らしをしたいと思うのは必然だ』