零度の華 Ⅲ
途中、チラリと遠藤の方を見ると眉を動かせ、嫌な顔を見せてくる
まだ、遠藤がプログレスということはバレていない以上、隠し通したいよな
今となっては遠藤の事なんてどうでもいいから、特別庇うという事はしないが、恩を売っておいた方がいいのかと考えてしまう
バラしたらバラしたで面白そうだな
しかし、遠藤とプログレスが同一人物である証拠を見つけている訳では無い
あの場所に防犯カメラはない
撃たれた際の拳銃、銃弾や空薬莢を回収し、口径を調べ上げられているだろうが、そこはどうにか誤魔化しているんたろう
………まぁ、それは後々考えよう
今は沙也加と望の話の最中だったな
『2人がどんな目的で表の世界に入り、子供を産んだのか知る由もない。だが、子供には、親が手を血で染め命を奪い、その命を奪う者を治療していた人間であり、あたしに殺されたという事を知る権利はある。それに知らせないと可哀想だろ?』
「お前、残酷な奴だな」
左後ろにいる仙道が蔑んだ目で見てきた
『残酷?何処が?このまま、アイツ等が死なず、捕まらず罪を隠し続けて生きていたとして、自らの過去を話すとでも?否、それはないな。抹消したい過去を、知られたくない事実を話す必要は無いし口にしたくないから、墓場まで持っていくつもりだっただろう』
あたしは仙道から目を離さすことなく話を続ける