零度の華 Ⅲ



『……知らぬが仏か?平和で平穏で暮らせれば幸せってか?………子供には罪は無いよ。罪が無いからこそ、現実を、事実を、揉み消さず包み隠さず、嘘偽りなく全てを教えてあげるべきだろ?そして、生き残った自分がどう生きていくかを考えさせなければならない。あたしのする事が残酷と思うか、全てを隠し育てる方が残酷なのか、それは個々で判断してくれ。望をどうするかはお前達次第だ。もう、あたしにはどうする事も出来ないからな』




ふぅ、と息を吐く


色々と教えすぎたか?

残しておいた玩具を警察に渡すようなことをしてしまった


まぁ、どちらにせよ、まだまだ赤ん坊の望だ


自分の置かれている状況なんて、分かるわけもない




おそらく、いや、確実に鷹見は梟のもとへ向かうだろう

望をどうにかするにしろ、状況を説明しないといけないからな

梟は何を思うのだろうか?



アイツはあたしが情報屋ICE(アイス)としか、思っていなかった

望を預けられ、あたしと繋がる手札を持ったと思っていたら、あたしは殺し屋零(ゼロ)であると分かり、望は誘拐された子供で、その親は私が殺したと告げられる



1度に聞くには情報が多すぎる



鷹見が梟にどこまで話すのかは知り得ないから、どれ程の情報量になるか定かではないが驚きを隠すことは出来ないだろう


そして、疑問に思うはずだ



「何故、梟に預けた」




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