零度の華 Ⅲ



鷹見の目をジッと見つめる

そして、鷹見もあたしの目をジッと見つめ返している、と思う


話の核心をついてくる質問に、悦びを感じる事に恋に落ちそうだよ


鼓動の高鳴りが分かる



玩具や駒で遊んでいた時とは、何か違う悦び

言葉で違いを伝えるには、難しいこの感情

本当にこれが"恋"と呼ぶのであれば、あたしは変人であり変態なのだと理解出来る


「おい、質問に答えろ」


何分、何秒の間、沈黙だったか分からないが、新しい感情の発見ができ夢見心地だったのに現実に引き戻さないで欲しい


もう少し、浸っていたかった



『焦らずとも、ちゃんと答えるよ。梟に預けたのは、一言で言えば"win・win"の関係だったから』


鷹見は眉を顰めた



「どこがだ?」

『梟は望の事情を何一つ知らない。あたしが何も告げず無理矢理預けたからな。それでも育ててくれるという確信があった。あたしの事を知れる唯一のカード‪だ。自ら手放すことは無いだろう。そして、あたしは梟組に望がいるということが分かっているから、育った時に状況を伝えることが出来る。自分で育てる考えは捨てて、思いついたのが梟組だった』




捕まって尚更、梟組に預けて正解だったと思う


家で育てるとなれば、亜紀の存在が明るみになるし望も何処に行くか分からなくなるからな


この話を聞いた鷹見が梟から望を取り上げるのであれば、結局何処に行ったか分からなくなるから、状況的には変わらなくなるか


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