零度の華 Ⅲ


あたしが望を狙っていると知ったんだ、望の居場所を特定されぬような対策は練られるだろう


あたしが情報を得られるチャンスがあればの話になるがな


『兎にも角にも、梟はあたしと繋がれるカードとして、私は面白くなる玩具として。お互いがお互い、利益のある存在だった』

「何故、自分から玩具を減らすような真似をしている?聞いていないのに、自ら話をしだして、何を企んでいる?」

『疑い深いな。別に何も企んじゃいないさ。ただ楽しかったから、その礼を兼ねて教えただけだ。今のあたしに望をどうこうできる術がないのに、玩具があっても意味がないから役目を任せている、ただそれだけだよ。まぁ、どうするかはお前達の自由だ。好きにしな。』




鷹見はあたしと数秒、見つめ合いをすると一瞥してあたしから去っていった

続くように部下達もいなくなる




あーあ、行ってしまった



楽しい時間程、あっという間に過ぎてゆく


もう少しお喋りを楽しみたかったと、静まり返っているこの空間を寂しく思う



仕方が無い


鷹見には沢山やることがある



あたしに構う時間は限られている


暇があるのは、あたしだけ






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