零度の華 Ⅲ
翌日、目を覚ましソファーに座る
『体、痛い』
高級そうなソファーだと言っても、ソファーは座る物で寝る物ではないな
体が痛くなってしまった
それなら牢屋の中のベットの方がまだ快適だったなと思う
あたしは立ち上がり体を伸ばすために背伸びをして、少しストレッチをし体を解す
『ふぅ』
一息つき、再びソファーに腰を下ろした
そして、自分の手を見た後、ゆっくりと目を閉じる
まだ、人を殺していたあの感触は忘れていない
依頼を受けて殺した組や族、一般人に社長、自分の意思で殺した組織や長く付き合いを共にした者
数え切れない程の人の命を手にかけてきた
その度に服を裂き肉を刺す音、血の臭い、死体の山と血の海は鮮明に頭に残っている
そっと目を開ける
今更、死者に対して謝罪なんてものはない
謝罪なんてすれば、今までやってきたことを全否定することになる
自分が殺しをやってきたことに後悔はない
殺しをすることであたしは生きていたと実感できたのだから
自分の思うように行動し、やりたいようにやっていただけ
それが世間一般で最低な事だと罵られようとも、あたしにはそれしかできなかったから
それだけがあたしであるためにと授かった生きる術だったのだから仕方のないことだと思っている
誰の共感も望んじゃいない